• 2023,06,23

    Exhibition

    奈良祐希×禅坊 靖寧 『samādhi』

    《 奈良祐希×禅坊 靖寧 『samādhi』 》

     本展では代表作「Bone Flower」と新作「Bone Flower_Nest」に加え、淡路島の神秘的な大自然からインスピレーションを受けた最新作「Synapse」を発表します。

    奈良祐希は、350余年の歴史を誇る⼤樋焼⼗⼀代⼤樋⻑左衛⾨⽒を⽗に持ち、祖⽗である10代⽬(現・⼤樋陶冶斎)は工芸界存命唯一の⽂化勲章受章者でもあります。1600年代半ば、加賀藩主が京より千家茶道を取り⼊れた際、樂焼唯⼀の脇窯として⾦沢の地に⽣まれたのが⼤樋焼であり、初代・⼤樋⻑左衛⾨から、本家は代々、その名跡を受け継ぎます。大樋家の⻑男として⽣まれ、伝統工芸の継承者となる宿命ですが、建築家・現代アーティストとして、歴代とは全く異なる独自の路線を歩んでいます。

    建築家としては、東京藝術⼤学で建築を学び、同⼤学⼤学院(美術研究科建築専攻)を⾸席卒業。建築家 北川原温氏の下で設計修行を経たのち独立、現在は建築デザインラボ EARTHENを主宰しています。「土」をモチーフに設計活動を展開し、近作では、Node(企業新社屋/金沢市)、Cave(リノベーション/富山市)など。 その一方で、現代アーティストとしても活動を続け、「共創」を展示コンセプトとして、様々な異なる事象を調和させ領域を超えたものづくりを得意とします。また、歴史的建造物、文化財といった建築的財産や自然に焦点を当てた展示を行い、アートの力でそれらの持つ場所の力を顕在化させる社会的な試みに取り組んでいます。

    本展の開催場所である「禅坊 靖寧」は建築界最高栄誉といわれる「プリツカー賞」を受賞した建築家 坂茂氏設計による唯一無二の建築物です。 全長100m のウッドデッキを有し、360度の全方位に広がる淡路島の絶景と溶け込みながらも、躍動感のあるダイナミックな建築デザインとなっています。淡路島の大自然を感じられるよう稜線を超えない高さに計算されており、展望デッキにいると雄大な自然に包まれているような不思議な感覚があります。また、風が抜ける展望デッキは様々な自然の音を楽しむことができます。  

    本展で掲げる3つのフィロソフィー

    現代建築とのセッション

    奈良は、作品を取り巻く環境と渾然一体となった状態を重視します。環境は作品に対するノイズと捉えられがちですが、建築家の顔をもつ奈良は、空間とアートを等価に考えて展示構成を行います。坂茂氏が創った「禅坊 靖寧」という建築に対して奈良がどう応答するのか、坂茂と奈良祐希のセッションといえます。  

    陶と禅の親和性

    心を静め、内省しながら高い境地を目指す「禅」。その禅を海外に広めた鈴木大拙は奈良と同郷の金沢に生まれた世界的な哲学者です。本展覧会では初の試みとして、鑑賞者に空中禅道場にて作陶体験を提供します。作陶という、予期せぬ動きを繰り返す土に対して闘う行為は無意識に入り込む行為だと奈良は常々言います。これは禅において、呼吸に集中することで自己を意識的に無意識化していくことに似ています。展覧会名になった「samādhi」は禅の語源にもなったサンクリット語で「心が対象の中に没入して自我が消えた状態」を意味します。雄大な自然の中、禅の体験施設での作陶という所作が新たな智慧や示唆をもたらすことを奈良は強く願っています。  

    有機と無機

    淡路島は伊弉諾尊と伊弉冉尊の二神により日本で最初に生まれた島であり、伊弉諾神宮は日本最古の神社として神秘的な歴史を感じる由緒正しい場所です。360 度に広がる四季折々の景色、燦燦と降り注ぐ陽の光、澄んだ空気、雄大な緑、多種多様な生態系、夜空に輝く宇宙が互いに連関を持ちながら共生している「禅坊 靖寧」では、作品を鑑賞しながら個人があらゆる事象と一体的に繋がっていくような感覚を得ることができます。本展では、新月・満月の日における宿泊、建築やアート、自然を感じながらの禅体験など、インクルーシブな体験型の展示により鑑賞者がウェルネスの実現に近づけることを想定しています。

    《 奈良祐希 Nara Yuki 》

     1989年石川県金沢市生まれ。2013年東京藝術大学美術学部建築科卒業、2016年多治見市陶磁器意匠研究所首席修了。 2017年東京藝術大学大学院美術研究科建築専攻首席卒業。 2021年より建築デザイン事務所EARTHEN主宰。陶芸分野ではArt Basel / Design Miami(スイス)、TEFAF(オランダ)、SOFA(アメリカ)などに招待出品。主な受賞歴として第3回 金沢世界工芸トリエンナーレ審査員特別賞、Penクリエイターアワード2021、第79回金沢市工芸展世界工芸都市宣言記念賞。建築と陶芸の融合を目指した代表作<Bone Flower>は金沢21世紀美術館に史上最年少で永久収蔵されている。建築分野では主な作品として<五行茶室>(2018/金沢21世紀美術館、台南市美術館)<Node>(2023/企業新社屋)、 <Cave>(2023/リノベーション)。 2021年には若手建築家の登竜門<Under 35 Architects exhibition 2021>のファイナリスト7組に選出される。 

     《 禅坊 靖寧(せんぼうせいねい) 》 

     禅坊 靖寧とは建築界最高栄誉といわれる「プリツカー賞」を受賞した建築家 坂茂氏設計による唯一無二の建築物。全長100m のウッドデッキを有し、360度の全方位に広がる淡路島の絶景と溶け込みながらも、躍動感のあるダイナミックな建築デザインとなっている。淡路島の大自然を感じられるよう稜線を超えない高さに計算されており、展望デッキにいると雄大な自然に包まれているような不思議な感覚がある。また、風が抜ける展望デッキは様々な自然の音を楽しむことができる。 住所:〒656-2301 兵庫県淡路市楠本字場中2594-5TEL:0799-70-9087アクセス:(お車の場合) 淡路ICより5分 ※無料駐車場は2箇所ございます。 (公共交通機関の場合) 三ノ宮駅・新神戸駅よりお越しいただけます。 *時刻表など詳細については禅坊靖寧HPよりご確認ください。

    公式サイト:https://zenbo-seinei.com/